2浪して東大に入ったという現役東大生が、東大に入るためには?と考えて実践した、読書ノウハウをまとめたものです。
著者の西岡壱誠さんは、いわゆる進学校出身ではなく、おまけに入った高校でもビリのほうで、偏差値35だったと書かれています。
まさに「ドラゴン桜」を地でいく東大生、のようです。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」
このブログでも紹介した「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読んで、中学生のときの読解力が、その後の高校や大学を決める、という結論に驚いたばかりですが、本書は、本の読み方を変えれば「読んだ本の内容を忘れない」ということが書かれています。
著者は、「「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書」を実行したおかげで、偏差値35から東大合格を勝ち得たわけですから、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」的に判断すれば、読解力をあげるためのノウハウ本が本書である、といえるのではないでしょうか。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」では、読解力を上げるための方法論は見つかっていない、とかかれていましたが、本書で紹介する通りに読書をすれば、少なくとも東大には合格できるのです。
東大読書とは?
西岡壱誠さんは、本書のなかで「東大生は読解力があるわけではない」と書いています。
しかし、受け身の読書スタイルではなく、能動的な読書を行っているのだ、と主張します。
能動的な読書とは、どんなことを指しているのでしょうか?
まずは装丁、そして帯に書かれた情報を読み、仮説(きっとこんな内容なんだろうな)を立てるということ。
でも、これって、本好きなら誰でもやっていることではありませんか?
本のタイトルが目についたら、帯を読み、どんな著者が書いているのか、といったことは買う前に調べます。
本屋で買わなくても、ネットで調べることもできます。
わたしは、本好きなら当たり前にやっているようなことから、論を進めているところが、とても親切だと思いました。
対象としている読者は、本をあまり読まない人や、読書力や読解力をつけさせたいと考えている人(先生とか)なのかもしれません。
読書のときにやっておきたいポイントを細かく整理
装丁読みからはじまって、自分の考えや感じたことを、メモを取りながら読む、というのが、本書がおすすめするノウハウです。
このブログでは細かく紹介しませんが、とにかく細かく、丁寧に説明しています。
巻末にはポイント整理だけで数ページあります。
能動的な読書とは、本の中身に疑問を持つこと、その疑問に対する回答をもとめることとし、とにかくメモってメモってメモりましょう!という主張が続きます。
これについては、わたしも同意です。
わたしは、このブロブで本のレビューをしていますが、本を読むときは、ブログで紹介することを前提に読み進めています。
ブログで紹介するので、気になるところはメモしますし、後からわかるように、自分の考えを書き添えることもあります。
一度、最後まで通読したあとに、知識として忘れたくない本の場合は、メモをとるために、再度、眼を通しています。
情報量の多い難しい本だと、一度目の通読よりも時間がかかりますが、確実に知識は増えます。
しかし、知識を増やすだけの受け身の読書は、東大読書ではないのです。
アウトプットが大事
「「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書」では、読んだだけでは知識さえ残らない、と書いています。
誰かに感想を伝える、共有することで、本から得た知識も、自分の考えも定着していくのです。
アウトプットすることで、自分の脳に確実に収納されていく。
これはもう、ブログを書いているとわかります、実感します。
読んでブログに書くと、すべての内容は覚えていなくとも、なにかしらの知識や考えが、記憶に残るものです。
たぶん、わたしと同じように本のレビューを書いている方には、この考えはご理解いただけるのではないでしょうか。
本は同時並行に複数読む
これも、やってる人はやっている、という読書スタイルではないでしょうか。
興味のあるジャンルについて何冊も読む、ということですが、著者がすすめているのは、書き手の視点が異なる2冊を、パラレルに読むこと。
何かを調べていると、1冊だけではわからなかったことも、2冊目、3冊目で理解できることがありますが、それを同時並行的にやってみましょう、という提案です。
研究者むけっぽい提案ですが、知りたいことがある人にとっては、とても役に立つ読書術だと思います。
読解力とは?何を指して読解力というのでしょうか?
わたしは、この本を読んで、読解力とは何を指すのか、という疑問を持ちました。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」では、読解力はAI(人工知能)が苦手とする分野だけれど、MARCHレベルの大学なら、AIでも合格可能な読解力を備えさせることができると書かれていました。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読んで、読解力こそが地頭の良さを示すもの、と感じました。
一方、本書では、読解力という言葉はほとんど使われず、徹底して読書の仕方、読書ノウハウを語っています。
読解力は、読み方を変えることで身につく、と言い切ってしまってよいのだろうか?
ハタと気づいたことは、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の最後のほうで、長い裁判を経験した人は、論理的に話をすることができる、という事例です。
「「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書」は、能動的に本を読むために何をしたら良いのか、ポイントを整理していますが、この読み方こそ、裁判を経験して、自分に何が起こったのかを何度も考え、弁護士さんとのディスカッションなどを通じて、自分なりに情報を整理していくことに通じているのではないか?
漫然と本を読んでいるのは、ただ話を聞いているだけだと、著者は書いています。
受け身の読書は、著者の「speak」を聞いているだけ。
能動的な読書は、著者との「talk」である。
英語では、一方的に「話す」ことと、相手と一緒に「話す」ことでは、使う動詞が異なることに着目して、このように説明しています。
著者はまだ23,4歳だと思いますが、ドラゴン桜を地でいくエネルギーで、東大卒業後はもっと面白いことをやってくれるかも、と期待して本を閉じました。
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