いわゆるHowTo本やマニュアル本とはまったく違う切り口で、Excelの使い方を教えてくれる本です。
わたしも10年くらい前までは、それこそ明けても暮れてもExcel、という日々を送っておりました。
ネットでアンケート調査ができるようになって以降、アンケートを作って集計、という作業を相当の回数おこなってきましたし、企業の状況を把握するための指標を求めて、データを詳細に分析するためにExcelを利用してきました。
そうして作ったデータ(グラフ)をつかって、プレゼン資料を、何十・何百と作りました。
その過程で、Excelの使い方を体験的に学んできましたが、当時、マニュアル本が役に立ったという記憶はありません。
マニュアル本とかHowTo本が役に立たないのは、大量のデータ処理をしたことがない人が書いていたり、データ処理はやっているのかもしれませんが、会議で使う資料やお客様にプレゼンするときの資料を作ったことがない人が書いていたりするためだと思います。
「こういう時はコレが最適!」というおススメの使い方など、本当に欲しい情報に出会わないのです。
マニュアル本とかHowTo本の多くが、「こういうことができるよ、操作方法はコレね」の一覧でしかない、と言えるかもしれません。
いっぽう、マニュアル本とかHowTo本に頼る人の多くが、実は、「こういう時はコレが最適!」というレコメンドを求めているに違いないのです。
少なくとも、わたしはそうでした。
どんなグラフなら相手に直感的に伝わるのか。
多くのビジネスマンが、直感的に理解できるグラフを作ることに頭を悩ませているはずなのです。
本書は、そんなビジネスマンに的確なアドバイスを与えてくれます。
本書は、資料を自分で作って自分でプレゼンする人のための、Excel再入門の書です。
すぐに読めてしまいますが、奥が深い。
自己流で体得したExcel使用法を再確認しつつ、あらためてデータとは何か、を知ることができます。
グラフの使い方、アンケート設問の作り方、分析情報の読み取り方など、経営者であった著者ならではの指摘が随所にみられ、とても勉強になります。
しかも実践的な事例がいくつも含まれているので、わかりやすく、身近です。
そして、大学のExcelをつかう授業(パソコンの使い方)の教本にもなりそうです。
というか、これを使って教えてほしいです!ぜひ。
大学で教えていて、Excelをまともに使える学生に出会ったことがありません。
毎年、自分が教えるマーケティングの授業では、Excelの使い方を手取り足取り、なんです。
授業の本質からどんどん離れていくようなかんじで、とまどいを禁じ得ません。
学生がここまでExcelをつかえないのは、教え方が悪いとしか考えられません。
きっと、「こういうことができるよ、操作方法はコレね」と、マニュアル的にしか教えていないのでしょう。
実践的な教え方ではないから、実践でExcelをつかおうとすると使えない学生ばかりとなるのです。
本書のように、幹の部分だけを的確に書いているExcel本を教本にして、学生にはExcelを身に着けてほしいと思います。
小学校でプログラミングを必修化するより先に、Excelを必修化してほしいものです。
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