2011年1月29日にブログに掲載したものです。中国の税務関係を簡単にまとめています。
中国で会社設立後、中でも、とにかく手間と時間がかかった上に、なんなんだぁ!と怒鳴りたくなるのが領収書の発行です。
中国では領収書(発票)はとにかく大切です。宛名がきちんと入った領収書がなければ、経費の計上が認められないためです。
中国で少しでも生活したことがあれば、次のような経験をするはずです。
少額(100元未満)では領収書を発行してもらえない
・・・・領収書を積立預金のごとく貯めておく、というのが普通です。
領収書を発行する代わりにジュースをあげるよ
・・・領収書の発行をとにかく渋ります。
領収書にクジがついている
・・・当たるとお金がもらえる宝くじみたいなものです。
領収書がもらえなかったら、肉でも野菜でもいいから領収書を集めろ、と会計士に言われる
・・・宛先の入った領収書が何より大切。
また一方で、領収書は政府が脱税を予防するための仕組みでもあります。
だから、領収書の発行がとても大変なのです。
サービス業の場合、5%の営業税を毎月納税しなければなりませんが、この根拠となるのが領収書の発行なのです。
領収書を発行するためには、税務局に対して会社の登記をするところからはじまります。日本でも税務署に会社の設立登記をする必要がありますが、中国とは比べ物にならないくらい簡単です。
中国では、会社の経理財務の方針を登録させられます。このときに会計事務所が使っているソフトウェアの登録もあります。
その後、月額の領収書発行額を登録させられます。なぜ?と疑問がわきますが、これも税金を回収するためです。月額100万元の場合、10万元が上限の領収書発行が可能となります。
そして、ここからが既得権益者がバカスカ登場するわけですが、まず領収書発行用の専用プログラムと専用プリンター、ICカード・リーダーを購入させられます。当社は約6,000元かかりました。
しかも驚くべきことに、安定稼働はWindowsXP、Windows7には未対応と告げられます。
マイクロソフトだってサポートが終わったのにこれまたなぜ?
ちなみにデスクトップオンリーです。
しかも、税務局から委託を受けている業者が来て、プログラムをインストールし、筐体を開いてデバイスを差します。北京スタッフに聞いたところ、これまた驚きですが、XP上で動くアプリではなく、Windows同様のOSのようなものらしいです。PCの起動時に、XPにしますか?それとも領収書発行する?という画面が現れ、領収書の発行を選択するとそれしかできない機械になってしまうのです。
だったらWindows7だって問題ないじゃん、と思うのですが、OSを複数入れると、バージョンの低いものはインストールできないらしいので、この関係かな、と思います。
そして、なんと!印字する領収書を1枚1元で購入します。
そうか、だからジュースなんだ。そして少額だと発行したくない理由もわかりました。
だって領収書が有料なんだもん。
そして、間違ったら発行した金額を取り消す領収書を発行して、改めて作成しなおします。つまり3枚の領収書=3元の経費が掛かるわけです。
おまけに、発行日をさかのぼることができません。
なので、発生主義の企業の場合、請求書と一緒に領収書を送ることが一般的になっています。
ここまでお読みいただいたみなさんのなかには、すでにお気づきの方がおられると思いますが、売り上げは領収書のデータありき、なので、領収書を発行しなければ売上計上できないことになります。そう、脱税ができるわけです。
中国では、領収書を発行しましょう、という政府の脱税防止キャンペーンがありますが、有効性は低いと思います。