これは、2012年5月30日にブログのほうで紹介した記事です。参照が多いようですので、こちらでも紹介します。
私のつたない経験のなかで、日系企業がグローバル市場で負ける最大の理由として考えられるのは、世界標準の販売方式に対応していないことだと思います。
アパレル業界について説明すると、以下のようになります。
1.百貨店による委託販売に縛られている、つまり全国一律の上代でなければならない、と思い込んでいる。
小売店舗はそれぞれ異なる顧客を抱えています。
本来は、上代決定権を持っているのは小売店舗側にあり、メーカーサイドは卸売価格でのみ対応するのが本来です。
実際、委託販売の習慣がない海外では卸売が一般的であり、上代を決定するのは小売店サイドです。すなわち、顧客の誰がその商品を買うかを予測して仕入れているので、上代も予測した顧客のお財布状況を推測して決めるわけです。
2.したがって、海外バイヤーに対しては下代のみを見せるべきなのに、「上代の**%が下代」という見せ方をしてしまっている。
これは、一般市場価格を先に見せていることになり、商品の価値を判断できないバイヤーに対してはマイナスです。
最近では、ミニSPAといったアパレルが多いため、下代が上代の50%以上、中には65%といったところまで出現しています。
上代がさらけ出されたなか、下代を計算して買うバイヤーはあまり存在しないと思います。よほどユニークなブランドであれば別ですが。
中国人バイヤーに言われたことがありますが、同じ価格(下代)レベルであれば、日系アパレルよりもイタリア系を仕入れるのだそうです。なぜなら、素材などでイタリア系の評価が高いためだそうです。
3.そして海外バイヤーを無視したスケジュールで展開している。
海外に打って出たいのであれば、バイヤーが買いを決める前にアピールしていかなければなりません。
この辺りについての戦略は皆無と言っていいでしょう。
つまり、日本市場でのみ有効な商習慣を順守し、海外では当たり前のことさえ知らないことが問題なのです。
アパレルに限らず、どの業種・業界も同じような壁にぶち当たっているものと思います。
もしかすると、壁の存在すら認識せずに、ずーっと壁打ち状態の企業もあるかもしれません。
昨今、海外進出の話を聞くたびに「徒手空拳」という言葉を思い出します。